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手紙38 時のない場所(4)

 投稿者:竹哲@らくらく安楽詩の会  投稿日:2019年10月25日(金)06時35分51秒
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  「生きている死者からの手紙」(1914年の出版、ノンフィクション、著作権フリー)
        エルザ・バーカーによる記録
        金澤竹哲・訳


手紙38 時のない場所(4)

 私は手招きして舞い上がる、私の足は花咲くひなぎくの頭を踏みつけはしない。
 あなたは私を見つけ、そして失う、人間は私を捕まえておけない。
 私は美を求める者のそばにいる――心で求めても、形で求めてもいい、しかし、私を閉じこめようとする者の手から、私は飛び去る。
 あなたは毎日、私が住む場所に来られる。
 私に会えるときも、会えないときもある。私の意志は風のよう、手招きには応えない。
 しかし私が手招きすれば、天国の四隅から魂たちが飛んで来る。
 あなたの魂も飛んで来る。私が魔法の呪文で呼び寄せた一人だからだ。
 私はあなたの助けとなり、あなたは私に意味をもたらす。あなたの魂が夢と恍惚の時を過ごすのを見ていたい。
 私自身の夢のひとつが天国の夢である時、光はさらに強く輝き、すべてのものが輝く。
 その一瞬の魅力を忘れてはいけない、虜となった気持ちを。
 気分は地上のどんな魔術師よりも賢く、一瞬の財宝は幾時代かけて集めた富より豊かで貴重なのだから。
 その一瞬は本物で、時代はただの錯覚、記憶、そして影にすぎない。
 一瞬一瞬がすべて、一瞬は時間を超える。
 時間は砂時計を伴い、歩みは遅い。その髪は年とともに白くなり、彼のふるう大鎌はたえまない刈り入れで鈍っている。
 時は飛び去ろうとする一瞬を捕らえたことがない。捕らえようと網を投げているうちに老いてしまう。
 ああ、生命の神秘、生きているものたちの無限の組み合わせよ!
 太陽ができたとき私は若かった、月がその娘の大地に抱かれて死ぬときも、私は若いだろう。
 私といっしょに若くならないか? 塵となる肉体は取るに足らない、魂こそすべて。
 愛が目覚める瞬間は、湖面に三日月が映るようだ。
 愛が死ぬ瞬間は、地上の疲れたひざに抱かれた色あせた花のようだ。
 けれど愛はいくつもあって、愛の光が輝きを放つように、魂たちは愛を与え合う。
 心の内の光が輝き、内面の――そしてかなたの――野原を照らすところに死はない。
 あなたは私がどこにいるか知っている。

 
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