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「生きている死者からの手紙」(1914年の出版、ノンフィクション、著作権フリー)
エルザ・バーカーによる記録
金澤竹哲・訳
手紙32(2)
焦点を変える
私はいつでも好きなときに、ほんの少し焦点を変えるのだ。すると君の世界に行ける。実際に人の目には見えないからといって、私がそこにいないという証明にはならない。意志を働かせ、かつ、ある方法を知っていることで焦点を変えるのでなかったら、君の世界の何物かと同じ空間を占めていて、それに気づかなかっただろう。まずこの点を理解してほしいのだが、それは言いたいことの半分でしかない。残りの半分は、君もいつでも――空間に関してなのだが――私たちの世界にある興味深いもののすぐそばにいながら、そこにいることに気づいていないということだ。
だが、君がこちらの世界に焦点を合わせれば、多少なりとも、意識していることになる。だから、方法を知っている私が君の世界に焦点を合わせれば、私はそこにいることを意識し、数々の町の変化に富む情景や、多くの国が変化してゆく局面を見て楽しむことができる。
こちらに来たばかりの頃は、地上のことはあまり良く見えなかったが、いまでは良く見える。
いや、私は君や他の人たちに、意のままに焦点を変えてこちらの世界と交流できるような方法を教えるつもりはない。なぜなら、この知識は人類の進化の現在の状況では、利益よりも害が多いからだ。ただ、事実を告げることで、このことに関心があり、かつ実践できる能力を持った人たちの応用にまかせたい。
私が手紙を書いている目的は、主に少数の人々を確信させるためだ――不死という事実、あるいは死と呼ばれる肉体の変化の後も魂が存続することを強く信じさせたい。自分が信じているかどうかわからないまま、信じていると思っている人は多い。もしも私がこの手紙によって、生きていて、活力のある実体だと読者に感じさせられるなら、特定の人々には不死の教義を信じる気持ちが強くなるだろう。
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