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手紙25 影のない世界(前半)

 投稿者:世話人の竹哲です  投稿日:2019年 4月 7日(日)07時19分58秒
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  「生きている死者からの手紙」(1914年の出版、ノンフィクション、著作権フリー)
        エルザ・バーカーによる記録
        金澤竹哲・訳


手紙25 影のない世界(前半)

 ここに来てしばらくして、この世界でもっとも風変わりな光景を見た。
 ある夜、ゆったりと歩いていた時、人々の集団が近づいてきた。大勢の人だったので、彼らのいる場所は強く光っていた。この光を見ているうちに、ヘルメス文書のことわざが頭に浮かんだ。「光がもっとも強いところにでは、影もいちばん濃い」。だが、彼ら、男や女を見ると、まったく影を投射していなかった。
 いちばん近くの男に挨拶した――この時、私はここに来たばかりで、いまよりも物知らずだったことは知っているね――そして、煌々と照らされた世界なのに影ができないという奇妙な現象について尋ねた。彼は私の問いに微笑んで、こう言った。
 「あなたはここに来て間もないですね。そうでしょう?」
 「はい」
 「それでは、私たちがこの世界を自分たちで照らしていることを知りませんね。私たちの体を作っている物質は光を放っているのです。そこからあらゆる方向へ光が出ているのですから、どうして影ができますか?」
 「太陽の下でもですか?」と私は聞いた。
 「ああ」と彼は答えた。「太陽のもとでは、私たちの体はまったく見えないことを知っていますね。太陽光は粗くて強烈ですから、霊の光を消してしまうのです」

 いまこの時、君のそばの暖炉で燃える木の温かさを私が感じていると言ったら、おかしいだろうか? 燃える木には魔法の力がある。燃焼する石炭は、これとは違う効果をサイキックな雰囲気に醸し出す。ビジョンを見たことがなく、繊細な感情にも鈍く、見えない世界からの予兆も感じない人は、燃え上がる焚き木の前で毎日1ないし2時間瞑想してみるといい。すると、彼の両眼やほかの希薄な感覚が目覚め、それまで夢見たことのないものが見えるだろう。
 火を持つ神を崇拝する東洋人たちは、賢く、数々のビジョンを得ている。燃えるろうそくの光にも、焚き木とは違うものの、同じような魔法の力がある。時々、夜は1本のキャンドルだけ灯して、瞑想しなさい。そして「虚空」からどんなビジョンが出現するか見てみるといい。
 
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