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死についての真実の物語

 投稿者:世話人の竹哲です  投稿日:2018年11月16日(金)07時04分28秒
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   第一次世界大戦の初期、若いイギリス兵が戦場で命を落としました。
 それを目撃していたのが、「生きている死者からの手紙」の著者であるハッチ判事。

 この実話には、わたしたちに役立つ知識がたくさん含まれています。

 以下は、2000年12月24日のクリスマスイブに書いた記事です。

<「X氏の友人」、霊界から愛の物語

 1912年に亡くなった著名な判事から女流作家に伝えられたメッセージは、知る人ぞ知る名著。その「生きている死者からの手紙」には続編があった。1914年、第一次大戦が勃発した直後、大戦の意味と人は死んでも魂は死なないという事実を、ふんだんなエピソードで伝える手記が書かれていた。その中からクリスマスに相応しい1章、「X氏の友人」を紹介したい(著者のハッチ判事が手紙の最後に特徴ある筆跡でXと署名したため、著者は自らX氏と名乗っている)。

<昨日、ひとりの男が君のことを考えながら戦死した。違うね、彼は君の友人ではない。出会ったことすらない男だ。彼は昨年(1914年)出版された、君の手を通して私が書いた「生きている死者からの手紙」を英国にいるうちに読み、深く心を打たれたのだ。何カ月も君に会いたいと思っていたが、慎重な性格ゆえそうすることができなかった。すると戦争が勃発し、彼は陸軍に入隊しベルギーへと出征した。

 最初の戦闘のあと、彼は日夜、この本に書かれた事実とその可能性について考え込んだ。
 死後も本当に地上のような生活が続くのだろうか? X氏が証言するように、死後、人は、生者の国に住む女性のもとへ帰還し、死者の世界の体験を物語ることができるのだろうか? X氏は、本に描かれたような事柄を実際に見聞したのだろうか。パターンの世界や天国を訪ね、腕に小羊を抱いた救世主に会ったのだろうか? などなど。

 彼はいつも塹壕の戦友たちに死後の生のことを話して聞かせた。パイプをふかしながら宙を見つめている彼に、「そんな風に何を考えているんだ?」とほかの兵士たちが聞くと、こう答えたものだ。「ぼくは去年読んだある本のことを考えている。本当なのだろうかとね」。どんな本なのだという問いに、彼は「生きている死者からの手紙」について説明し、一節まるごと暗唱してみせた。それから物語の粗筋を教え、あちこちに散りばめられた哲学的な命題の数々を解説した。一晩中をこのような議論に費やしたものだ。

 君は兵士として、あるいは看護婦としても戦地に行ったことはないね。ところが、君は戦場にいたのだよ。
 あの本が、世界史のなかでももっとも多くの人々を地上から霊界へと移行させる大戦の数カ月前に出版されたことは不思議な偶然だ。君はそう思わないかね? ぼくは師がそうだと教えてくれるまで気づかなかった。

 君のことを想いながら昨日戦死したわれわれの友人には、気がかりな問題がひとつあった。もし彼が敵の手でこの世から放り出されるとしても、われわれが本で書いたように、「天国の小さな家」を、英国にいる恋人のために用意することができるだろうかと考えていた。そして、彼が準備し、恋人を待つとしても、果たして彼女は彼の死後も忠実であり続け、数年後にこちらの世界の小さな家で一緒に住んでくれるだろうか。

 だが、このことは一言だって塹壕の戦友に伝えてはいない。本の中のほかの話は教えても、この話だけは黙っていた。不思議なことだが、人間は一番気に入っている考えは人に話さないものだ。

 この本でもうひとつ彼の興味を引いたのは、まだ地上にいる夫とエジプトへ旅した女性の話だ。彼はしばし夢想したものだ。自分が戦死した後で、霊となって、かつて恋人と一緒に旅し、新婚旅行にも選んでいた北ウェールズの地を訪ねることができるのだろうかと。

 ある夜、彼は恋人に長文の手紙をしたためた。自分が戦死したなら、夏にはかの地へ出かけてほしい、ぼくはそこで君に再会できるよう努力したいと。ところがしばらく考えた後で、恋人を悲しませるだけだと思い、彼はこの手紙を破り捨ててしまった。

 私が彼を見たとき、肉体のうちなる霊が奇妙な光を放っていた。これは肉体が崩壊する直前の現象だ。私は間もなくそうなることを察知し、待った。

 突然、彼の肉体が地面に倒れ、希薄な体が自然に肉体から抜け出てくるのが見えた。私はほんの一瞬待って、彼に近づき、漂いながら眠りにつこうとしていた彼を持ち上げた。それから霊体の額に息を吹きかけた(もちろん、霊体にだって額はある)。私は、人生の最期のときに、われわれの本に多大の関心を寄せてくれた男の霊の額に息を吹きかけたのだ。

 彼は私の目の前で目覚めた。

「こんにちわ、Xさん」と彼。「あなたとここで会いたいと願っていました。あなたはぼくの期待を裏切りませんでしたね」
「そう、私はいつだって誠実なのだ」。私は答えた。
「なぜこんなに早くこうなると思ったのかね?」
「なぜって、ぼくにはあなたの姿が見えたからです」
「ではどうして私だとわかったのかな?」
「あなたの写真を見たことがあります。雑誌に掲載されていたのです」
「しかし私はまだあんな年よりのように見えるのかな?」。私は尋ねた。なぜなら、自分ではかつての若さと美しさをある程度取り戻したと思っていたからだ。
「どうしてですか」と彼は言った。「あなたは写真そのままの姿ですよ」
「これは奇妙だ」私は答えた。そして気づいた。彼が考えていた私は、物語にある通りの年老いた判事であり、その考えが私の意志とは関係なく、この体を彼の望みのままに様変わりさせていたのだ。
「少し昼寝したいかね?」。私は眠気の感じられない彼の目を見ながら聞いた。
「いいえ、結構です。Xさん、私は英国へ帰りたいのです。でも、あなたには他にお仕事がおありでしょうね」
 私は笑って答えた。
「君が望むことやしたいことは、私にも重要なことなんだよ」

 われわれは一緒に出かけた。
 ドーバー海峡を横切り、兵士であふれる船着き場を通り過ぎた。

「彼らがぼくのように霊界について知っていてくれたらいいのですが」と友は言った。「ここでどんなに素晴らしい友人に出会うかわかったら、たぶん彼らはあらたな勇気を奮い起こして戦うでしょうね」

「灰は灰へ、塵は塵へ」と説教し、旅立つ魂を慰めようとする牧師諸君、驚いてはいけない。私と霊界にきたばかりの兵士の楽しい会話に驚き、ショックを受けてはいけない。彼は旧知の友と出会うことを知っていた。それに、死が生よりも神聖だということはなく、また生以上に荘厳なものではないことも。

 われわれは娘を訪問した。私も若い頃、しばしばデートしたものだが、この兵士が恋人を訪ねるときほど興味津々だったことはない。彼女がわれわれを見ることができないという事実は、なんら問題ではない。そのことには、私はすでに慣れてしまった。
 われわれが訪れたとき、娘は長く美しい髪をくしけずっていた。目の前の暖炉の上、ちょうど鏡の下に、われらの友人の写真が飾ってあった。娘の愛情を込めた視線がそれに止まり、その一瞬、彼は恋人と写真の間に身を置いた。すると、娘が叫んだ。
「なぜかしら、目が生きているわ!」。そして櫛を床に落とした。
 それから、真実が娘の心に閃き、荘厳な口調でこう言った。
「愛しいあなた、もしこれがあなたなら、そしてこんな奇妙な方法で私に会いにいらしたのなら、どうか信じてくださいね。あなたを愛しています、いつまでも愛し続けます。そして天国でお会いしましょう」
 それから娘は小さなイスに座り、泣き始めた。

 私は彼を恋人と一緒にさせたまま立ち去った。だが、ときどき様子を見に戻ってくるつもりだ。そして彼には、こちらの世界で生きて行くための知識を教えよう。戦場には近づいてほしくない。そんな必要はない。彼は義務を果たし、その代償を手にしたのだから。
 いつかあとで、君と私の名前を胸に刻んで死んだこの男についてまた報告する機会もあるだろう>
 
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